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- 毎日が『人生の思い出づくり?』− 母の思い出の美味しい料理『一銭洋食』を家族で試食してみたら…
私が物心ついた時、青っぽい1円札が流通していた記憶はかろうじてあるのですが、『銭』と言う補助貨幣はもうありませんでした
だから、当時20歳代の母が『小さい時に食べた一銭洋食はおいしかったなぁ。
一夫のおっちゃんや、清や健三と一緒に焼いたんやで』と、夢見心地の表情で繰り返し語るのを聞かされて、一体どんなものなのか、よほどのご馳走だったのだろうと、子供心に想像を膨らませていました
そしてある時、母の発案で、いよいよその憧れの一銭洋食を再現することになりました
火鉢の周囲に家族が集まりました
その頃の火鉢は暖房兼おやつ製造機みたいなもので、餅を焼いたり干しいもをあぶったり、小豆を炊いたり、自然と人が寄っていたものです
みんな、期待と緊張の面持ちで固唾を飲んで見守っていました
見つめられるフライパンも穴があったら入りたい位の心境だったかもしれません
母が薄く溶いたメリケン粉をお玉で、ひとすくいしては伸ばし、フライパンの上でタネは、まーるく広がり、ふつふつと気泡が出てくる…
その上にきざんだ青ネギをぱっと散らします
薄い分、火の通りは早く、裏表ひっくり返してソースを塗って出来上がりです!
火傷しそうなくらい熱々をほおばると、
『うーん、肉やイカ、タコが入っているお好み焼きのほうがおいしいんと違う?』
内心そう思いましたが、こんな感想を馬鹿正直に言うてええかな…
上目遣いで、母と妹の顔を盗み見ていました
誰もおかわりをせがまなかったところを見ると、みんなそれぞれが拍子抜けするくらい、私と同様の感想を持ったのではないでしょうか
それから、二度と一銭洋食は食卓に出ませんでしたが、なんとなく名前だけは強烈に印象に残ってしまっていました
^^;
一銭で食べられる洋食なんて豪華なものであるはずがないのに、ハイカラなソースをかけたら何でも洋食の時代があったのでしょう…
庶民的なネーミングが世相を反映しているようで面白いです^^
誰にもある懐かしい思い出の味、思い出の場所、思い出の人…
時の流れの中で美化されたり、変容していくのはごくごく自然のことです
この『我が家の一銭洋食』試食体験は、ちょっぴりドキドキ、ちょっぴり悲しかった、でも忘れられない良き思い出となりました^^
日々の当り前の出来事の一つひとつが、人生の宝物です。
何気ない一瞬一瞬を大切に過ごしていきたいと思っています^^
(引用元:HAPPY ONE Vol.318 P26-27, 執筆者:Y・Iさん)
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