『ただいま❗お母さん暑いよ〜アイス買って❗』
と、汗びっしょりで帰った子供たちが大声で叫んでいる
『おかえり❗暑かったでしょう、さぁさぁ手足顔を洗いましょう』
と、2人の背を押してお風呂場へ直行
ザーッと、足元へ水をかけて洗いながら、桶に水をためて裸になった子供に水をかける…
『わー!冷たい!気持ちいい』
ひとしきり水遊びをして、タオルで全身を拭く時は、『アイス』の事は忘れて、いつもの麦茶と駄菓子のおやつをいただくのが日課!
祖母やお兄ちゃん(叔父)たちも、一緒のおやつタイムは賑やかで嬉しいひとときです
当時『30度を超えたらアイスを買おうね❗^^』の約束がありました
当時(昭和46年から47年頃)は、真夏に30度を超える日は数える位でした
子供たちはアイスが欲しくて、温度計の赤い玉を吸ったり息をかけたり苦労していたとか…。^^笑
夫の父が…
昭和40余年に夫の父が急遽しました
小5、中1、中3、高3と、専門学生の姉弟と母が遺されました
大黒柱を失った家族を支えるのは、長男である私の夫が当然でしょう…
当時、遠隔地で暮らしていた私たち夫婦は、夫の実家へ帰らざるを得ない状況となりました
それは結婚7ヶ月後の事
「『姑、鬼1,000匹』って言うよ、あんたが4,000匹の中へ入っていくのは心配だ」
と、友人たちは口を揃えて感じていました
悶々とする日々、しばらくは農繁期にだけ夫が実家を手伝っていましたが、1年が過ぎて私が妊娠した頃、夫は一足早く実家に戻ることとなりました
『人間の計画は、その通り運ばないこともある!』
と父からさとされ、私も帰郷の決心をすることにしました
しかし、自分の仕事が捨てきれず、しばらくは仕事のできるところでということで、その後も母や弟達と別居の暮らしが続きました
ある秋の夕暮れ、薄暗くなった部屋に何かが散乱していました
(なんだろう?)
そこには夫のお気に入りの別注のカッターシャツが無惨にも引きちぎられてバラバラになっていました
私以上に、夫の苦悶がそこに広がっていました
頭をガーンと殴られた思いと同時に、その日を機に『一日も早く帰ろう』と改めて決心したのでした
バタバタと帰省の段取りが進み、8人家族の生活が始まりました
引っ越しは私の29歳の誕生日でしたが、誰もそんなことには気がつかず、終い(しまい)風呂にひたりながら『明日からは、こんな生活が始まるなぁ』と密かに覚悟したのを覚えています
当時の夫の手取りは30,000円
給料は焼け石に水のごとく、瞬く間に消えていきました
姑は日雇い人夫になり、弟たちは奨学金を受けてアルバイトをしてその場をのりきりました
そして、私は内職を始めました
充分面倒を見てもらえない幼子は、私の足元でぐずぐず駄々をコネルばかりでした
そんな時、弟が、ぐずる声をテープに撮って聞かせると、キョトンとして泣きやんでいました
こんな今風の子守りを、おんぶや抱っこにプラスしてやってくれていました
お互いに『今を一生懸命』の同じ想いで毎日を ”たたかっていた” のが幸いでした
嫁姑のトラブルも少なく、いとこたちは『お姉さん』と私を呼んでくれ、学校のこと、アルバイトの事、将来の夢も語り合える仲となりました
ただ経済の厳しさは相変わらずでした
『今夜は何?』と学校から帰った弟
当時の弟は、学校から帰るなりよく『今夜は何?』と私に聞いてきていました
『くず煮よ!』と答えると、
『へーっ、どこかへ行こうかな』と、今置いた靴を持って出て行こうとする始末!
くず煮とは、姑譲りの料理で、大根、ニンジン、牛すじ、レンコン、こんにゃく、豆腐などと鶏肉で煮た煮物です。
根菜類にタンパク質との取り合わせは手間いらずで、栄養価も高く、我が家の十八番でした
『一度死ぬほど牛肉を食べたいな!😅』と言う弟に、
『きっと夢は叶うよ、ずっ〜と思い続けてごらんなさい』と私。
それから間もなく夫の職場でバーベキューが催され、弟が便乗したのはもちろんのことでした^^ww
ところが、彼が社会人となり所帯を持ち、小さな庭に真っ先に種をまいたのはなんと大根でした😳
『また大根か!』と嘆いていた、あの弟が…。^^笑ww
くず煮は、今も我が家の人気メニューに鎮座しています
当時、家族揃っての外食はありませんでしたが、ある時、水道工事の為、水が使用できず、外食をすることになりました
そんな日には、子供たちは飛び上がって喜びました
今は2人の子の親になった娘が
”
あの外食の嬉しさは今も心に残ってるだあ〜^^
度々外食していては分からない感動だと思う!
自分も手作りを大切にして、外食はできる限りしないようにしてる!
子供たちにも感動を味あわせたいからね^^
”
と語ることがありました
満たされないものをお金で補うことができなかったのが幸いでした
・お金がないから工夫をする
・工夫をすると知恵が湧く
・意見を言う
・相手の意見を聞く
・意見がまとまり実行する
・成功できると共に喜び、失敗すれば共に泣き、より一層工夫する…
この繰り返しがお互いの絆を強くしてくれていたように、今では思います
みんな、成長し巣立った今、あの頃こそが、かけがえのない種まきの時期だったと感じています
おかげさまで、良い種まきをさせていただきました
血となり肉となり、心の大きな根となり、お互い支えてくれています
今日一日もかけがえのない一日です
喜びの一日を大切にしていきたいと思います
こんな人生の歩みを振り返ると、こんな歩み方もまた、最高!なのかもしれませんね^^
(引用元:Happy One Vol.282 P8-11)
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